『スーツ・ジャケットの世界を知るには?-専門書で学ぶ-』

オーダーメイドを学べる書籍

こんにちは、豊橋の高級オーダースーツ・ジャケット・コートのテーラー、Syuhari(シュハリ)です。

先日までに

『スーツ・ジャケットの世界を知るには?-漫画で学ぶ-』

『スーツ・ジャケットの世界を知るには?-映画で学ぶ-』

『スーツ・ジャケットの世界を知るには?-書籍で学ぶ-』

『スーツ・ジャケットの世界を知るには?-雑誌で学ぶ①-』

『スーツ・ジャケットの世界を知るには?-雑誌で学ぶ②-』

をご紹介いたしました。
これから初めてオーダースーツやジャケットを創られる、もしくは学ばれるという方がいらっしゃいましたら参考にしてみてくださいね。

『スーツ・ジャケットの世界を知るには?-専門書で学ぶ-』

さて、今回は現在わたくしが作り手側として勉強中のためご紹介を致しますが、スーツやジャケットをオーダーされる皆様はここまで学ばなくても問題ありません。お寿司が好きな方にお寿司を握るための専門知識が必要か?というとそうでもないのと同じです。(でも知っていたらもっと楽しいですね)

こちらの専門書は主にファッション系の専門学校や大学の服飾系学科、アパレル産業の専門家育成用の教科書として使用されております。
今までご紹介した勉強方法ではほとんど出てこない製作方法、主にパターンメイキング(型紙作成)や作図方法、裁断、仮縫い、補正方法、それぞれのパーツの縫製補法などが細かく説明されています。

少しだけ豆知識としてご紹介いたしますと、例えばSyuhariでも定番の「テーラードジャケット」。このテーラードジャケット1着を制作するのに必要な布地の量は①表布150cm×170cm②裏布90cm×230③芯地90cm幅前身頃丈×2+15~20cm④肩パッドの厚さは0.8cm~1cm。原形のダーツ操作として後ろ見頃は肩パッドを入れてシルエット作りをするため、肩ダーツの2/3程度を袖ぐりに移動し、残りのダーツ分量はいせ分とする。
(スーツを作る際によく出てくる「いせ」。「いせ」とはスーツの肩と袖の部分のように、長さの違う2枚の生地を縫い合わせるときにぴったりあうように生地を縮ませて調整しながら縫うこと)
前身頃(まえみごろ)は胸ぐせダーツの1/3-1/4程度の袖ぐりのゆとり分とし、残りのダーツ分量は肩と衿ぐりに移動する。襟ぐりに移動された分はラペル部分のゆとりとなる。
などなど…と豆知識と言いながらわたくしにはまだ全ての説明文が呪文に見えます。

専門書を読んでみると、ファッションとは学術的には文系だと思っていたけれど作図はほぼ数値で決まっていますし、長い歴史の中で生み出された黄金比をもとに新たなデザインを作り出していくため理系でもあるのだと感じ入りました。(そもそも音楽や建築しかり、芸術というのは文系理系分けられない学際的なものですね)

それぞれ専門書一冊を読めばスーツやジャケットを仕立て上げられるようになっている大変すばらしい虎の巻なのですが、裏地付きのジャケットなら最低でも50パーツ、すべての縫製をカウントすると70工程以上を経て完成するため、一冊読み終わった際の感想と致しましては「そりゃハンドメイドのスーツは高いわ!」というものでした。工賃の安価な海外製のマシンメイドだとしても、最近目にするオーダースーツ2着で4万8千円というのは、もはやどうやって実現しているのか専門書を読むだけではわかりません。
職人さんに聞くと「お値打ちなオーダースーツは芯地やテープといった、表からは見えない部材のコストや工程を削減して一応スーツの形にしている」とのこと。(ちなみに職人さんからすればそういったスーツはペラペラなので一目で分かるそうなのですが、わたくしはまだ修行中です…)

ということで今回もペーペーの分際で好き勝手に書きましたが、今回専門書を手に取り学び得たこと。それはオーダースーツやジャケットの製作が極めて専門的で手仕事の工数が非常に多いという事、それゆえ高価になるという事です。
かなり大げさに聞こえるかもしれませんが、スーツやジャケットには人類の叡智が詰まっていると、わたくしは震えるほど感動致しました。(法隆寺の五重塔が1300年前に創建されたものと知った時と同じ感覚です)

最初にお寿司を例に出しましたが、スーパーの1パック680円のお寿司と、カウンターで頂く特上寿司7,000円(銀座なら3万円でしょうか?)の違いもきっとこのような目に見えない部分の差が大きいのだと思いました。

まだまだスーツやジャケットの手仕事については未熟ですが、引き続き勉強をして皆様にご紹介をして参ります。