ジャケットやスーツの袖ボタンの数はどうやって決める?

ボタン4つのアップ

 

先日、フルオーダーが人生で初めてというお客様のお仕事用スーツをお仕立て致しました。その際にお客様から「袖のボタン(カフボタン)の数はどうやって決めたらいいですか?」とお声がけを頂きました。確かに近年の既製服のビジネススーツでは4個が一般的ですが、フルオーダーの場合は1個でも10個(極端ですが)でもお客様のお好きな数だけつけることができます。
そこで、本日は「ジャケットやスーツの袖ボタンの数はどうやって決めるか?」についてご紹介を致します。

最初に結論を申し上げますと袖のボタンの数は気にしなくていい。お客様の好みで』というのが答えです。
とはいえ、そうなると「なぜ今は4個が多いのか?好みは好みでもどういう基準で?」という点が気になると思いますので、テーラー業界で通説として耳にしてきたものをいくつか挙げてみましょう。

前ボタン(フロントボタン)の数にプラス1個説

前ボタンプラス1個(2個)

まずこちらは文字通り「前ボタンの数に1個足す」という説。
例えばシングルブレストの場合(身体の正面部分の合わせが重なっていないタイプ)、前ボタンが3個の場合袖ボタンは4個。
前ボタンが2個の場合は袖ボタン3個です。
昨今は前3個のスーツやジャケットが多いので、そうすると袖ボタン4個が主流ということに納得がいきますね。
ちなみにダブルブレスト場合(身体の正面部分の合わせが重なっているタイプ)前ボタンが4個の場合2個としてカウント、前ボタンが6個の場合は3個としてカウントするようです。

フロントボタンと袖ボタンの合計が5個説

前ボタンプラス1個

こちらは前ボタンと片方の袖ボタンの数の合計を5個で固定という説。
主に古き良きブリティッシュ式(イギリス式)と呼ばれるスタイルですが、その昔は前ボタンが2個だと袖は3個。前ボタンが3個だと2個か3個、という計算になります。
カジュアルなジャケットの場合前ボタンが1つというデザインもありますので、その場合は袖ボタン4個になりますね。

長い歴史の中で決まったもの

スーツやジャケットという長い歴史を持つ衣類ならでは決め事。イギリスの貴族や紳士が「上品さ、バランスの良さ」を突き詰めて決められてきた数というものをご紹介致します。

・イブニングコート(燕尾服)
イブニングコートはジャケットのように前ボタンをしめないため飾りボタンのような存在ですが、ダブルブレストで6個ボタン。数としては前ボタン3個でカウントをしますが、袖ボタンは4個が主流です。しかし、より伝統的なスタイルでは5個、現代的なスタイルでは3個の場合もあります。

・モーニングコート
前ボタンが1個に対して袖ボタン3個が主流となっています。

・タキシード(ディナージャケット・スモーキング)
タキシードの前ボタンは1個、袖ボタンは伝統的なものだと4個、最近では3個のものもあります。こちらは②でご説明した合計5個の法則に当てはまりますね。

・ブラックフォーマル(礼服)
シングルブレストの場合は前ボタン2個か3個が多いため、袖ボタンは3個か4個がスタンダードですが、現在は袖ボタン4個が主流です。
ダブルブレストで前ボタンが6個の場合、袖ボタンは2個か3個になります。

 全く気にせず好きな数だけ

上述の①~③ではある程度法則的な考え方お伝えいたしましたが、法則等は気にしなくてよいというものをご紹介致します。
例えばイタリアナポリのデザインは前ボタンの数に関わらず袖ボタン4個が主流。
映画007で主演ダニエル・クレイグの衣装として抜擢されたトム・フォードのスーツは特徴を出すために前ボタン3個に対して袖ボタン5個のものや2個のデザインがあります。

オーナーも007に憧れて袖ボタン5個のスーツを仕立てたことがありますが、感想としては袖ボタンが5個だとカフスを着けたときに少し重い印象かな?と思いました。
そのため「お好きな数でオーダーを」と言われたらクラシックを意識し袖ボタンは2個、前ボタンは3個の段返り(「だんがえり」といって前ボタンの一番上を止めずに、襟の続きとして折り返すこと)が最近の気分です。

シュハリのおすすめの袖ボタンの数は?

個数の表記が多い文章になってしまいましたが、袖ボタンの数の決め方についてなんとなくはご説明できたでしょうか?冒頭でもお伝えいたしましたが、
実際は『袖ボタンの数は自由』。お客様のイメージや気分でお選びいただいて問題ありません。
特に弊工房のオーナーのように、カフスや腕時計といった小物にもこだわりがある場合は、そちらも考慮して全体のバランスを見る必要が出てきます。
袖のボタン一つとっても奥が深く、また決めるのが楽しい時間。

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