洗練されたスーツ・時計・靴・鞄・車・家具・ステーショナリー。
男女問わず趣味嗜好を愉しむ者にとってある種、同意義とも言える存在のモノたち。もちろん、Syuhari(シュハリ)のオーナーや職人、そしてお客様方にもそれぞれ並々ならぬ情熱をお持ちの方が多くいらっしゃいます。
そこに共通するのは「ものづくりの哲学や歴史への共感」と「喜びを実感させてくれる美しさ」。
時代を超えて愛され続ける「名品」は私たちの日々の暮らしを豊かにしてくれます。オーダースーツを誂えにサロンにご来店されたお客様と、お洋服以外のお話をするのもわたくしどもの楽しみの一つです。
さて、Syuhari(シュハリ)のサロンにお越しになったお客様からよくお尋ね頂くのが「正面に停まっているグリーンの車はなんという車ですか?」というご質問。(現在看板を掲げない弊工房の看板のような存在です)
こちらの車はオーナーにとって特別な存在ですので、この機会にご紹介いたします。
こちらの車はイギリスの自動車メーカー、ウェストフィールド・スポーツカーズがかつて1957年から1970年代にかけて生産・販売していた自動車『スーパーセブン』です。
思い返すとオーナーがまだ小学校5年生の頃(約60年程前)、豊橋というこの田舎町を颯爽と走り抜ける姿を目の前で見て、思わずその場から動けなくなるほど感動をした車です。幼心にいつか乗りたいと強く思ったものの、現実的な自動車ではないことから50年以上「いつかは…」と思っていた存在です。
そして時が経ちオーナーは会社勤めを終え、さてどうしたものかとなったタイミングでご縁があり、この「スーパーセブン」を譲り受ける機会に恵まれました。それが今から8年程前。「いつかはスーパーセブンに乗りたい」という忘れかけていた夢が50年越しで叶った瞬間でした。
満を持して、幼心に強い衝撃とも言える感動を覚えた車を目の前にすると、自分が持っていたいくつかの夢が少しずつ思い起こされました。
そして、その夢の一つが「いつか、小さくてもいいので自分のお店を作りお客様に喜びを届けたい」というもの。新しいことをはじめるには勇気がいるものですが、ささやかでも(実際には大変なことが山積みでも!)夢を叶えることの喜びをこの「スーパーセブン」が教えてくれました。
他の方から見ると「走れるの!?」と思われるクラシックカーですが(ちなみにちゃんと走ります)、オーナーにとっては一歩を踏み出す勇気をくれた、モノを超えた存在でもあります。
大人になっても、いくつになっても夢や遊び心を忘れたくない。そんな気持ちをお客様と共有できたらと思い、個人的な趣味の車ですがお店の前に停めております。
ちなみにSyuhari(シュハリ)のブランドカラーでもある「ブリティッシュレーシング・グリーン」はこちらの車から継承したものです。
わたくしどもが目指すのは、古き良き英国文化が香る正統派なスタイルでありながら、イタリア仕立てのように軽やかな着心地、そして日本人ならではきめ細やかな職人技が光るシュハリ仕立て。オーナーにとって「スーパーセブン」が夢を与えてくれる存在であったように、お客様にとってシュハリで誂えたスーツやジャケットが人生の夢を叶える一着になりますことを願ってやみません。